ものを書く日々

ライターの若林理央(わかりお)です。書評・イベントレポ・スポット案内のブログ。エッセイ・コラムはnoteで更新中→note.mu/wakario

渋谷LE DECOで『キミと東横。』展Final ポートレートで街の新たな一面を

以前、CRAZY STUDYで取材し、読者に強い印象を残したポンさん。

 

crazystudy.info

 

 そのときも話していたポンさん主催の『キミと東横。』展が、いよいよFinalを迎えるそうだ。再びポンさんに会いに行った。

ポンさんは以前と変わらず快く取材に応じてくれた。

 

今回は私が受けているライティング関係の講座の課題でもあるため、地方経済ニュース風の文体でお送りする。

※講師からは事前にブログ掲載の許可をいただいています。

 

 

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 渋谷駅南口から徒歩1分のLE DECOで、11月5日(火)から10日(日)まで『キミと東横。』展Final(東京都渋谷区渋谷3-16-3 髙桑ビル3階)が開催される。『キミと東横。』展は三年に渡り、ポートレート撮影によって東急東横線沿線の新たな魅力を発掘してきた。 

 

 これまでは一つの駅をテーマとし展示を行ってきた。しかし、集大成となる『キミと東横。』展 Finalは東横線のすべての駅が撮影対象で、17人のフォトグラファーが参加する。今までの『キミと東横。』展で発表された写真もあれば、フォトグラファーたちがFinalに向け新しく撮り直したものも展示される。

 

「カメラマンやモデルの熱量があってこそ、なしえた展示会です」主催者はそう語る。「コンセプトはポートレート撮影を通して街の新たな一面を知る、知ってもらうことです」

 

主催者のポンさんはアマチュアフォトグラファーで時々モデルもしている。今回の取材場所は渋谷だった。待ち合わせた際、大きなカメラを持った男性が通りかかり「ポンさん!」と声をかけて一枚撮っていったほど、ポートレート撮影界隈では人気者である。

 

 三年前、ポンさんが『キミと東横。』展を始めてからというもの、たくさんのフォトグラファーたちが「わたしも関わりたい」と立候補してきたそうだ。その中には『キミと東横。』展でポンさんを知り、メンバーに加わった人もいた。

 

「『キミと東横。』展が始まったきっかけは私自身が東横線沿線に住んでいたことです。これまでの『キミと東横。』展ではカメラマンがそれぞれモデルを探し、一つの街に足を運んで撮影していました。綱島駅がテーマになったときは、地域のWEBメディアである「綱島ニュース」にも取り上げられました。今回はいよいよ総集編です。横浜から渋谷まで、東横線沿線順にすべての街のポートレートを並べます」 

 

 また、Finalでは、三つの新しいコンセプトのポートレート展示が予定されている。

    東横線からなくなってしまった街(桜木町駅、並木橋駅)

    ポンさんとモデルのミキティ。さんで東横線半分ほどの街を回って撮影した「ミキと東横」

    向理来さんを起用した『キミと東横の宿』(「きみととうよこいん」)

 テーマを追加したことより、『キミと東横。』展Finalはこれまでにない魅力が加わったと言う。

 

 イベントは入場料無料。11月5日(火)から8日(金)までは11:00~19:00、9日(土)は11:00~21:00、10日(日)は11:00~17:00まで開催している。

 

 

 

料金表 | 若林理央

2019年時点でのWEBライティング料金表は下記の通りです。

※すべて3000字程度を目安とした金額です。字数・内容により変動します。

 

依頼される際は、rio.wakabayashi429@gmail.com

もしくはツイッターのDMにてご連絡ください。

 

現在、取材記事・コラム・書評記事に力を入れたいと考えているため、この三つに関しては通常より低価格で設定しております。

 

取材記事

取材・撮影・執筆 20,000円~(交通費別)

企画・取材・撮影・執筆 25,000円~

企画・取材・撮影・執筆・ディレクション 30,000円~

文字起こし(音源からご要望に応じたトーンの記事に仕上げます) 17,000円~

 

※すべて取材先のリサーチ・初稿提出後の修正(2回まで)を含んだ金額です。

※撮影にはミラーレスカメラを使用します。

※当方は都内在住ですが、遠方の取材も承ります。

 

記事(取材記事以外)

ブックレビュー(小説・漫画) 6,000円~

ブックレビュー(ビジネス書・専門書) 10,000円~

コラム 8,000円~

上記以外の記事(リサーチなし) 8,000円~

上記以外の記事(リサーチあり) 12,000円~

※リサーチ内容により変動します。理系・医療・ITなど専門性の高い分野でのリサーチが必要な記事については20,000円から承ります。

 

 

※ライティング以外ではナレーター、SNSマーケターやコンテンツディレクターの経験もあります。依頼される場合は別途お問い合わせください。

 

 

 

ほんわか、不条理、ミステリー…風味豊かなアンソロジー『患者の事情』

 もともとアンソロジーを選ぶつもりはなかった。

久坂部羊さんの医療ミステリーを久々に読みたくなり検索していた。すぐにだいたいの小説はもう読んでいることに気づいた。

まいっていたときに偶然出会ったのが集英社のアンソロジー『患者の事情』である。

作者は久坂部さんの他、筒井康隆三島由紀夫北杜夫遠藤周作など堂々たる顔ぶれが並ぶ。病気や患者にまつわる短編小説は風味豊かな小説ばかりでとても嬉しい偶然だった。

完成度も非常に高かったので一作ずつ紹介したい。

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山本文緒「彼女の冷蔵庫」

娘と十歳しか年の違わない35歳の継母が主人公。娘が骨折し入院したところから物語は始まる。二人の関係は冷ややかなものだったが、あることをきっかけに変化が訪れる。

娘の孤独感を理解できるのは恐らく主人公である継母だけだ、とすぐに読者は気づかされる。

全体を通しきれいごとは語られていない。それなのに心が暖かくなる、アンソロジーのはじまりにふさわしい短編だった。

 

筒井康隆「顔面崩壊」

山本さんのほんわかした小説の後に筒井小説を持ってくるあたりがこのアンソロジーの意地悪なところかも知れない。

読者は突如としてSFの世界に放り込まれる。前置きなくわけのわからない老人から宇宙にある他の星の話をされる。一歩間違えば顔面崩壊する恐れのある恐ろしい星。老人はどのように顔面が崩壊するかまでことこまかに語ってくれる。

ラストは不条理そのもので「筒井康隆だなあ」としみじみしてしまった。

 

椎名誠「パンツをはいたウルトラマン

筒井ワールドからやっとこさ抜け出し、気を取り直して読み進めようとしたら別の意味での不条理な世界が広がっていた。

副業でやっていたウルトラマンに扮するバイトで、衣装とお面がとれなくなってしまった主人公の物語。深刻なはずなのだが設定が設定なので焦る主人公はユーモラスに見える。

とはいえ結末までは予想が追いつかず驚いた。

 

北杜夫「買物」

精神疾患を扱った小説だが、世界観がどこかおかしい。読者が違和感を感じるのとほぼ同時に、患者よりもきわどい医者の異常性が描かれる。そして急に物語はSF風になり、患者と医者はタイム・マシンを使い過去へ行く。未来を変えることである野望を叶えようとするが、ふたりには思わぬ事態が待ち受けていた。

最後の患者の一言が衝撃的。

 

小松左京「くだんのはは」

戦時中の神戸。空襲で家が焼けてしまった少年は昔雇っていた女中が務める邸宅に預けられる。女主人がとりしきる邸で少年は恐ろしいものを目にする。時は巡り、少年は大人になるが…。

「くだん」とは何なのか、主人公を取り囲む世界は幻想なのか現実なのか。

気づいた時には薄暗い闇の中にいつしか放り込まれてしまっていた。

 

白石一郎「庖丁ざむらい」

ここからは時代劇ものが2作続く。1作目は食にこだわり自ら料理をする一風変わった武士の話。他の武士を招き入れ屋敷で食事をふりまったとき、食中毒が起こる。

全体を通して武士の痛快とも言えるほどのマイペースっぷりが描かれている。感じられる。人の幸不幸は客観的には判断できないものなのだなとつくづく思った。

白石さんの小説は初めて読んだが、他のも手にしてみたくなった。

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隆慶一郎「破行の剣」

時代もの2作目にして、この短編集で私がいちばん好きな小説だ。「庖丁ざむらい」と同じように主人公は武士だが、うってかわって雰囲気はシリアスになる。

時は戦国、将来有望な武士であった若き主人公は戦で満身創痍となる。不運は続き理不尽な目にも遭うが、主人公は決して短絡的に物事を解決しようとはしない。運命にも抗わない。

主人公の精神的な強さが心にしみわたる名作だった。

 

久坂部羊「シリコン」

生まれたときから不幸な目にばかり遭うヒロイン。それでも希望を失わず豊胸手術で人生を変えようとするが、まさかの手術失敗。ようやく自分を救ってくれる医師に出会えたと思いきや…。

久坂部さんの小説が読みたくて手にした短編集で、「シリコン」を読むのは二回目だった。何も悪いことをしていないヒロインを襲う運命には腹が立つが、読後感がさわやかなので何度でも読みたくなる。

 

・藤田宣水「特殊治療」

幻想的で不気味なホラー。患者を前に医師は研修医時代の話をし始める。人と話すのが苦手な医師は高嶺の花のような女医に恋をした。しかしその恋は思わぬ方向へ向かっていく。

とても恐ろしく途中で吐き気がしそうになる小説だが、「それはそれで幸せの一つの形なのかもな」と感じた。読む人によって悲劇にも喜劇にもなりそうな小説。

 

遠藤周作「共犯者」

夫にときめいたことが一度もないという主婦が主人公。胃の病気をした夫は入院し、ルックスの良い同僚が見舞いに来る。そこから主婦の歯車が狂い始める…と言うと昼ドラのような物語を予想してしまうが、作者が遠藤周作なのでもちろん陳腐な展開とは無縁である。

毒を残しつつも読後感はとても良い。

 

馳星周「長い夜」

日本で違法就労をしている東南アジア出身の売春婦が重い病気にかかった。その面倒をいやいやながらも見てしまう日本人女性が主人公。

これは長編小説の一つの章だったのだろうか。起こることがすべて唐突で正直ついていけなかった。著者は社会風刺をしたかったのかも知れない。

 

氷室冴子「病は気から」

ちょっとしたことで重い病気なのではないかと疑ってしまう心配性の主人公(恐らく著者)。他の短編とは異なりギャグテイストの自伝的小説だが、著者が亡くなった今読み返してみると複雑な気持ちになる。

 

三島由紀夫「怪物」

この短編集はどうやって小説の順序を決めたのだろうか。氷室冴子の軽いタッチの自伝的小説から、三島の重厚感のある世界へ急に突入する。

三島ファンなのでこの短編も再読。若い頃から残虐で自己中心的だった主人公が老人となり倒れ、意思表示もできない状態になり介護される。恐らく周囲の人々に悪意はない。だが、主人公の考えや希望は伝わらず、因果応報という言葉では言い切れないほどの辛い目に遭う。だが今まで彼の残虐っぷりがあまりにもひどいので読者はまったく同情できない。

「ほんとうに周囲の人たち、悪意がなかったのかな」

ふと疑問に感じ始めた終盤、突然物語は速度を増し唐突に幕がおりる。

読者の想像の余地を残す手腕は三島ならではの腕っぷし。さすがだ。

 

渡辺淳一「薔薇連想」

解説で最も絶賛されている小説。梅毒に冒された美しい女性が性行為によって周囲の男たちに感染させていく物語だが、ロマンチシズムと女性への幻想があまりにも強くてくらくらしてしまった。主人公に共感できないし「そうはならんだろ」とつっこんでしまうのは私がミレニアル世代の女性だからだろうか。

それにしても最後はやるせない。「なんでそうなんねん」と悲しい想いで本を閉じた。

 

 

人によってどの小説が好きか変わってくるのがアンソロジーの面白さ。「患者」というテーマでここまで風味の異なる短編小説が味わえるとは思っていなかった。

詠んだ人皆さんに、「あなたはどれが好みに合いましたか?」と聞いてみたい。

 

 

もう二度と読み返せない傑作14編 『他人事』平山夢明

心身が痛めつけられるような描写に救いのない結末…好みがはっきりと分かれる短編集だ。

怖い小説が好きな人に限定して「この中でどれが好き?」と聞いたとしても、ばらばらの答えが返ってくるはず。

タイプの違う残酷な小説がひしめきあっている。

 

 

 

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『他人事』

表題作。タイトルどおりに物語が進んでいく。

事故に遭った男女と子供。子どもは序盤から瀕死の状態だ。そこへ通りかかる男。助けてもらえると思ったのもつかの間、話がまったく通じず状況は悪化していく。

サイコパスを描いたホラーかと思いきや、それ以上の絶望感が最後に用意されている。

きっと物語の終焉では、周囲は静まり返っているのだろう。

 

『倅解体』

ニートで恐らく犯罪者でもある息子をもった夫婦。夫の視点から物語は語られる。

序盤、数十年前の妻の難産を振り返る際の描写があまりにも生々しくて、出産経験のない私は思わず目を伏せた。

心を休める間もなく話は進み、「あれ?異常なのは息子だけ?」という疑問は、終盤思いもしない方向で解明される。

表題作に続き「なんだかこの短編集読んでいたら体まで痛くなりそう」と思ったのはこの小説を読み終えたときだった。

 

『たったひとくちで…』

最初の2作とは異なるテイスト。娘を誘拐された女性に誘拐犯は自分の悲しい過去を語り、あるものを食べさせる。

中盤でラストの予想がつくが目が離せない。「これで終わりでいいの?ほんとうに?」と作者に問いかけたくなる。勧善懲悪とは無縁の世界が目の前に広がる。

 

『おふくろと歯車』

タイトルからは想像もできない、とても辛い青春もの。

「家族は父親のサンドバックです」そう公言する養父から凄惨な虐待を受けている少女と、母親が新興宗教にのめりこんでいる少年の逃避行。

少女が少年に投げかける一言に救いが見出せるような気がしつつも、その前の虐待描写が女性として苦しすぎて、子どもは親を選べないという事実を痛感する。

 

『仔猫と天然ガス

これまで読んだすべてのものの中で後味が悪い小説ナンバーワンにランクインしてしまった。

身体障害を持ち、孤独さの中にもささやかな幸せを感じながら生きる40代女性に、理不尽極まりない不幸が襲い掛かる。

暴力描写がこれでもかとグロテスクに描かれると、その後に救いが待っているのかと反射的に思ってしまうが、救いなんて一切ないまま、暴力が終わった後は淡々と物語も幕を閉じる。

精神的にもうだめだとギブアップした。読んだ後もう一度この短編集を開くまで、数日間をあけた。

 

『定年忌』

直前の短編がファニーゲームばりの内容だったので、その次の短編ぐらいは残酷な描写が和らいでいるかなと思ったが甘かった。

定年後の老人に何をしてもいい社会。年配の人がひどい仕打ちを受け続けるのは読んでいるほうも辛い。そして最後の数行、吐きそうになった。

それでも前作の衝撃は超えられなかった。どれだけえげつないんだ『仔猫と天然ガス

 

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『恐怖症召喚』

虐待を受けて育ち暴力団絡みの仕事をしている男と「恐怖症」という超能力をもった少女の話。この短編集の中で、唯一、小さな希望が見出せた小説だった。

とはいえグロテスクな暴力シーンはたくさんある。他の小説と同様にとても短いが内容がまとまっていて、映画化できるとしたらこの小説だけかも知れない。R指定は確実。

 

『伝書箱』

猫が人の指をくわえてもってくる。若いヒロインが、ストーカーをしていた男のことを思い出しながらそれを見つめる。

得体の知れないものが確実に近くにあるのにそれが何かわからなくて、主人公とともにどんどん追い詰められていく。ところが、最後の一文で世界はひっくりかえってしまった。

予想もしない結末という意味ではこの短編集でダントツ。

 

『しょっぱいBBQ』

少し変わってはいるが、純粋に幸せを願う家族が初めてのBBQをする。穏やかなひと時になるはずが、少女の遺体を見つけたことで、突如として家族は理不尽な恐怖に直面する。

これもファニーゲーム的展開になると思いきや、最後、「そんなのってあり…?」とげっそりするほど哀しい結末を迎える。

楽しい時間を過ごしたかっただけなのにね。

 

『れざれはおそろしい』

ひとりの教師のもとに一通の手紙が届く。そこには自殺をほのめかす内容が書かれていた。

業務日誌、議事録、メモ、手紙…さまざまなものを織り交ぜた形で最後まで展開し、暴力描写は一切ない。

何が待ち受けているのか、手紙を出したのは誰なのか…すべては無邪気にすら思える完全な「悪」の思うつぼだった。

 

『クレイジーハニー』

SFとブラックジョークとホラーが混在したような印象の小説。タッチがとても軽い。近未来を描いているようで不気味でもある。

 

ダーウィンとべとなむの西瓜』

近代アメリカが舞台…と思いきや、思わぬところで日本人も絡んできた。

会社をクビになるのを避けるため死刑執行バイトを引き受けた貧しい主人公。家族を養っているがゆえのやむをえない判断だし、悪人ではないのでよけいにラストの絶望感は大きい。物語の最悪の結末は「死」だけではない。

 

人間失格

自殺しようとしている女にこれまた人生に絶望している男が声をかけ、救いの手をさしのべるというベタな展開が、終盤になって突然暗転する。

読後感がひどすぎて言葉を失ったが、タイトルを見て納得した。もともとそういう意図の小説なのね。

 

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『虎の肉球は消音器』

若いころから仲の良い三人の男たち。貧しくても、ささやかな幸せを感じられる人生を送る…はずだった。

いちばん成功したと思われていた男には道半ばで夢が潰え、人生のものがなしさを感じさせる雰囲気が物語を覆う。

そしてもちろん、それだけではこの残酷な短編集を締めくくれない。苦労を乗り越え幸せの絶頂にあった男にも作者は容赦ない結末を用意している。

最後の二行の寂寥感が切なくも恐ろしい。タイトルが秀逸。

 

 

他人事 (集英社文庫)

他人事 (集英社文庫)

 

 

感想を書くのにも休憩がいるほどの短編集だった。

京極夏彦の『厭な小説』すら飛びぬけていった印象。間違いなく傑作だが、もう二度と読めないと思う。

 

 

 

すぐ側にある奈落 〜山田詠美×中川淳一郎×嶋幸一郎「今の世の中に言いたいこと、ぶちまけます」に参加して

だいぶ前なので正確には覚えていないが、9.11が起きたとき、テレビで北野武さんが「死んだ人数ではなくて、その人たちにそれぞれ人生があったことを認識してほしい」というようなことを言っていた。

 

当時私は10代で、まわりに死を感じたことがなかった。

2歳で祖母を亡くしたときは、まだ物心がついていなかったし。

だけどその言葉は突き刺さった。

 

生まれてから30年以上。

ふと隣を見ると奈落だった、という体験を何度かした。

 

始まりは小学生の頃。

帰り道に見知らぬ若い男性に腕をつかまれ、「叫んだら殺すぞ」と言われたことがある。

 

男性にもためらいがあったのか、私は男性の手を振り払うことができ、住んでいたマンションのエレベーター前まで泣き叫びながら駆け抜けた。

あのとき、私はたしかに、自分のとなりに暗い奈落が広がっているのを感じた。

 

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次は昨日noteに書いた不登校時代だった。

 

note.mu

 

それから、婚約し上京までしたのに、相手の浮気が明らかになって婚約破棄したとき。

離婚直前、2ヶ月元夫と連絡が取れないまま病院に閉じ込められたときもそうだった。

 

考えると、奈落は近くにある、と感じる機会は多かった。

私は奈落に足を入れかけながら、脱した。

脱せなかった人を描いたのが、フィクションとノンフィクションの間を揺れ動くようなこの小説だったと思う。

 

 

つみびと (単行本)

つみびと (単行本)

 

 

 

イベントで詠美さんは語った。

この小説の主人公は、すぐ側に奈落があった。

子どもの頃から虐待を受け、その影響で心に深い数を残した彼女の母も子殺しになる可能性は充分あった。

 

だけど母は精神を病み、子どもの元から去ることで、奈落に落ちることからも逃げられた。

 

そして逃げなかった子どもは、子殺しになる。

たった一言をきっかけとして。

 

大阪二児餓死事件は記憶に新しい。

「フィクションでしか、子どもたちを閉じ込め、遊びに行き、子どもたちの死後も逃げ続けた母親の内面は切り取れない」と詠美さんは語った。

 

また、都心から少し離れた地方独特の、その世界から抜け出せない感覚も、実際に体験しなければわからない。

 

ようやく抜け出したとき、彼女を待っていたのは希望ではなく地獄だった。

 

血の繋がりではくくれない、不幸せの連鎖とすぐ側にある奈落が、これでもかと描かれている。

犯人を「人でなし」と断罪する人は多い。それほどの凄惨な事件を彼女は起こした。それは事実だ。

だけど、小説家は想像力を使って、事実からまた一歩踏み込んでいかないといけない、と山田詠美さんは語った。

 

詠美さんが実際の事件を基にした小説を書いた経緯がはっきりとし、詠美さんの「ひとの悲しみを描く」姿勢は、昔から変わっていないことに気づけたイベントだった。

 

 

 

 

若林理央(わかりお) ポートフォリオ【これまでの執筆記事】

 

都内在住のフリーライター 若林理央です。

 

現在の主な執筆媒体

WEB 70seeds、LabBase、AM、UMU、CRAZY STUDY

紙媒体 月刊留学生

(CRAZY STUDYは「わかりお」、月刊留学生は「梶川理央」名義)

取材記事(企業取材含む)、コラム、カルチャー記事を中心に執筆。

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経歴及び過去の執筆記事は下記ご参照ください。

 

 <ライター経歴>

2012年~紙媒体を中心に執筆開始。

現在はWEB媒体に移行し、各メディアの企画・取材・ディレクションにも携わりながら活動中。

得意分野は取材全般、コラム・エッセイ、書籍紹介、観光(スポット紹介)。

 

ポートフォリオ

・「次の70年になにを残す?」Webメディア 70seeds

【2019年9月スマートニュースに掲載されました(2000以上PV獲得)】

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「生まれ変わった韓国文化院」

 
ハリウッド大学院大学 教授・助教授インタビュー
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行政書士 インタビュー
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※メディア以外の執筆

 

エッセイ

note.mu

 

書籍・スポット/イベント紹介

www.wakariowriter.work

 

※記事の執筆依頼

記名記事を中心に承っています。企画・取材・撮影・ディレクションも可能です。

通常は24時間以内に返信させていただきます。24時間を過ぎても返事がない場合は、再度お問い合わせください。

連絡先 メールかTwitter DMよりお願いいたします。

メール rio.wakabayashi429(アットマーク)gmail.com

Twitter  @momojaponaise

twitter.com

 

 

 ※随時ポートフォリオを追加していきます。

 

<その他経歴>

 

大阪生まれ大阪育ち。都内(23区内)在住。神戸女学院大学文学部卒業。

幼少期に両親の離婚・母の再婚、阪神大震災場面緘黙症などを経験し、その経験をもとに10代からエッセイや小説の執筆をはじめる。

学生時代はフランス文学と日本文学を比較。ご当地アイドルだったこともある。

大学卒業後、家電メーカーで役員秘書として勤務した後上京し、結婚するが二年で離婚。

日本語教師イベントコンパニオン、ナレーター/MCをしながら2013年よりライターとしても活動を開始。

2018年、シェアハウスで知り合った5歳年下の現夫と再婚。

現在はライターと日本語教師をしている。

趣味は読書、熊の生態研究、ミュージカル鑑賞など。

 

 

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【大人向け】4時間あれば満喫できるムーミンバレーパーク

 

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 ▲入場前から気分を盛り上げてくれる小道

 

少し前までは、混雑でアトラクションの整理券も早く行かないと手に入れ入らないと言われていたムーミンバレーパーク。

 

夏休み中にもかかわらず、金曜日の開園後すぐに行ったら人も少なく、満喫できました。

滞在したのは数時間だけ。

平日の開園直後に入園したのが良かったようです。

 

短時間でのムーミンパークの過ごし方をレポしてみます。

 

まずはいちばん人気と名高いムーミン屋敷。入園後すぐに向かいました。

 

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9時15分頃に着きましたが、9時30分の回のチケットをゲット。

 

9時半ちょうどに2グループに分かれ、みんなで「旅人さん」になり、ガイドさんの案内のもとムーミン屋敷の地下から3階までを回ります。

 

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途中で「いたずらな旅人さんはいますか〜♪」と言われたので、迷わず挙手!

 

時計のネジを回すと、ふしぎなことがおこりました。

 ネタバレになるので避けますが、ムーミン屋敷では不思議なことがたくさん起こります。

 

 

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ムーミンの祖先

 

 

ムーミンのパパママの部屋や、リトルミイの部屋、それぞれ特徴があってとてもかわいいので、ここは間違いなく撮影スポットです!

 

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ムーミン屋敷を出ると、時刻は10時。

朝食がわりにまったりとお茶しました。

 

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ショップと併設されているカフェでフィンランド人が冬に食べるというお菓子も提供されました。

 

ショップではフィンランドの工房で作られたムーミンのお皿やコップが販売されています。

ムーミンフィンランドはやっぱり切っても切り離せないものなんやなーと思いながらコップを購入。

 

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▲割れにくい素材でできています。

 

この時点で10時半頃、まだまだ人は少ないです。

 

隣のお店で缶バッジ作りのワークショップに参加。待ち時間なしでできました。

 

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▲これがだいたい5分程度で完成します。40種類程度(季節限定含む)から選べて、金額も500円と安い。

 

同じ建物内では、著者の人生を知ることができるシアターやムーミンの世界を味わえる展示があります。

 

暑い日だったので、屋内で楽しめるのはかなり嬉しい。

 

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いまさらだけど、

ムーミンって深い話なんですね…

キャラクターとしてのムーミンではなく、物語としてのムーミンに触れることができました。

スナフキンが示す孤独の寂しさと、一人でいることの自由さ。

ムーミンママの持つバッグが表現する、生きていくときに持ち歩いておきたいもの。

いろいろな新しい発見や、新しいキャラクターとの出会いがありました。

 

建物の1階にはランチができる店もあります。

時刻は11時半。人がだんだんと増え始めています。

 

(ランチの写真撮り忘れた)

 

名前はムーミン谷の食堂です。

12時過ぎに食べ終えると、既に列ができていて、整理券が配布されていました。

 

 

外に出てみても、この時間帯から混み始めている印象です。

ムーミンやリトルミィ、スナフキンの出るステージショーもやっていて、夏休みということもあり子ども連れが目立ちました。

 

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他にもジップラインや海のオーケストラ号、リトルミイのプレイスポットなど、有料アトラクションがありましたが、どのアトラクションも、平日午後、人が増える時間になっても待ち時間がほとんどないようです。

 

ムーミン屋敷以外は子ども向けが多いかな、という印象だったので今回は行かず、園内をぐるっと回りました。

スペースは意外に広く、これから新しいアトラクションができるのかな?という印象です。

 

外に出たのは、1時頃。

入場から4時間しか経っていません。

 

最後にムーミンバレーパークを訪れる際の3つのポイントにをまとめてみます。

 

・平日はお盆や年末年始など大勢の人が休みになる時期さえはずせばそんなには混まない

・特に入場者がまだ少ない9時〜11時半頃に動き回るのがおすすめ

・大人だけなら炎天下にいなくても楽しめる

 

 

近くにはプラネタリウムや雑貨やアイスクリームが売っているショッピングモール、ワークショップができる工房やそこに併設されたスタバなどもありました。

 

暑くても、終日時間をかけなくても臆せず行けるテーマパークという点では、TDLを上回っているかも知れません。

 

個人的には大人向けテーマパークだと感じたので、興味を持った方はぜひ一度訪れてみてください!

 

ところで、ムーミンバレーパークにいた時間と5月に一般参賀と人気店の列に並んでいた時間を比較したら5月のこの日のほうが長かったです。

詳しくはこの記事からどうぞ↓

 

www.wakariowriter.work

 

やっぱり行く時期と時間を見極めるのが大事ですね…