若林理央の書評

フリーライターの若林理央です。新刊を中心とした書評をしたためるブログです。エッセイはこちらから→note.mu/wakario

逃げられない子どもたちが残したもの 『ぼくらの』鬼頭莫宏

※一部ネタバレあり。『ぼくらの』は、ただの鬱漫画じゃない。 ロボットがメインのバトル漫画でもない。 甘えの許されない状況下に登場人物を置き、生きることの本当の意味を彼らの死によって伝える、他に例を見ない人間ドラマだ。 アニメもあるが、原作漫画…

町の小さな本屋の可能性 『13坪の本屋の奇跡』木村元彦

本屋が町にあふれたら。 とりとめもなく、そんな想像をすることがある。 「好きなジャンルの本は、あの本屋に行けば、最適なものが見つかる」 「今自分に必要な本がわからなければ、本屋さんに相談しよう。ぴったりのものを見つけてくれる」 町の人たちはみ…

【候補作を全部読んでみた】どうなる2019年下半期の芥川賞 後編

【執筆/2020年1月5日】 第162回芥川賞候補作をすべて読んだ。 今回の候補作の著者に、出版業界に新たな風を吹き込む純文学作家はいるのだろうか。 後編では、乗代雄介「最高の任務」と古川真人「背高泡立草」の書評を書き、候補作5作を比較したうえで、受賞…

【候補作を全部読んでみた】どうなる2019年下半期の芥川賞 前編

【執筆/2020年1月4日】 1月15日、第162回芥川賞受賞作が発表される。 私は無類の純文学好きなので、受賞作発表前に、初めて候補作全作を読むという試みをした。 芥川賞は賞レースだが、日本の出版業界の命運をにぎる純文学作家が見つかるかも知れない。期待…

料金表 | 若林理央

2019年時点でのライティング料金表は下記の通りです。 ※すべて3000字程度のWEB記事を目安とした金額です。字数・内容により変動します。 ※紙媒体での執筆依頼も受け付けております。料金については下記を目安に、別途ご相談ください。 ※書評のご依頼は優…

ほんわか、不条理、ミステリー…風味豊かなアンソロジー『患者の事情』

集英社のアンソロジー『患者の事情』の作者は、筒井康隆、三島由紀夫、北杜夫、遠藤周作など堂々たる顔ぶれが並ぶ。病気や患者にまつわる短編小説集だ。 ・山本文緒「彼女の冷蔵庫」 血のつながらない25歳の娘と35歳の継母。娘が骨折し入院したところから物…

もう二度と読み返せない傑作14編 『他人事』平山夢明

心身が痛めつけられるような描写に救いのない結末…好みがはっきりと分かれる短編集だ。 怖い小説が好きな人に限定して「この中でどれが好き?」と聞いたとしても、ばらばらの答えが返ってくるはず。 タイプの違う残酷な小説がひしめきあっている。 平山夢明…

若林理央 ポートフォリオ【これまでの執筆記事】

都内在住のフリーライター 若林理央です。 現在の主な執筆媒体 WEB 70seeds、LabBase、AM、UMU、CRAZY STUDY 紙媒体 月刊留学生 (CRAZY STUDYは「わかりお」、月刊留学生は「梶川理央」名義) 取材記事(企業取材含む)、エッセイ、書評を中心に執筆。 2019…

「正義」の不確かさ ~手塚治虫『アドルフに告ぐ』を再読して

初めて読んだ15年くらい前は、自分の信じていた「正義」が手からすべり落ちていく感覚を中盤で味わった。 今回、再読し、その感覚が「感触」と言えるほど生々しいものになった。 それを味わったのは初めて読んだときと違い終盤だった。 3人のアドルフのうち…