ものを書く日々

企画から取材、執筆までやるライターわかりお。このブログでは書評中心に書いていきます。

『短歌と俳句の五十番勝負』穂村弘×堀本裕樹

小説やエッセイは文章の中で言葉が流れていき、ストーリーを読み終えるまでにある程度の時間がかかる。

 

だけど、俳句や短歌は言葉を短い文の中にとどめておける。

そこから、味わいをだす。

 

いつもながらのホムホムのおっとりした文章。

お題を与えられて、「え、このお題をこう受け取っちゃうの!?」とびっくりさせられることがたくさんあった。

 

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対して俳句は、正統派と呼ばれる俳句を生業とする堀本さん。

幼少期に親しんだ自然から発想を得た俳句が多い。

 

そんな2人に数々の有名人がいろんなお題をだす。

電車の中で読んでいたら、突然「挿入」とか「夢精」とかいうお題も出てきて、あわてて閉じてしまう。

 

まったく違う観点から物事を書く2人なのかと思いきや、「着る」というお題が出たときはどちらも生物について書いていたりして、おもしろい。

 

堀本さんの文章はていねいで美しい。エッセイももっと書いてほしいなと思ったけど、読み終えてから考えていると、やっぱり印象に残ったのは穂村さんの短歌や文章だ。

 

「A型の人がAB型のシャツを着ているときに事故にあって現場が混乱する」って、そんなこと想像したことない、と思いながら思わず微笑んでしまう。

 

短歌「ヘンゼルの仮面外せばグレーテルの仮面の君がふるえはじめる」は衝撃的だった。

 

童話という舞台を降りた瞬間本性があらわれるなんて、ほんわかしていた世界から突如として毒のきいた世界に突き落とされた気持ちになる。

 

最近は自然も減ったから、ユーチューブで蛍とか自然を見て、それを俳句にする「ユーチューブ俳句」というのもあるらしい。

 

新しい発見が多かった。

最後の2人の対談、目の前で見てみたい。

 

2人が歌人として、または俳人として生きている幸せをかみしめる終盤の会話は読んでいるこちらもふんわりした気持ちになれた。

 

短歌と俳句の五十番勝負

短歌と俳句の五十番勝負