ものを書く日々

企画から取材、執筆までやるライターわかりお。このブログでは書評中心に書いていきます。

不妊治療の裏で見過ごされる「産まない」選択肢 ~『産まないことは「逃げ」ですか?』吉田潮

最近、不妊治療についての情報がいろいろなSNSやWEBメディアであふれている。

その情報に触れるのはたいてい女性で、まだまだ男性からの認知度は低い不妊治療だが、「不妊治療」や「年齢が上がってから産むことのリスク」、「男性不妊」の知識も10年前と比べれば得やすい時代になった。

 

その一方で、「産まない」道を選ぶ女性のことはまだあまり語られていない。

子どもの頃から、漠然と「わたしは子供を産まないんだろうなあ」と思っていて、去年PCOS多嚢胞性卵巣症候群)と診断されたときは「ああ、やっぱりか」という気持ちになった。

 

PCOS、30代。

「妊娠を望むならすぐに不妊治療を始めたほうがいい」

婦人科医に言われ、覚悟していたはずなのになぜか「不妊治療をしなければならない」という気持ちが急に来た。

数日で去っていったけど。

 

一瞬生じたその気持ちは、どこからくるものだったのだろうか。

「わたし」自身がそれを望んでいたとは言い切れない。

「夫が望むから」だったのだろうか。

少子高齢化の日本社会で、産まないことは悪いことだから」と無意識に思っていた、というのがその答えにいちばん近い。

 

「子どもを産む」「不妊治療をする」

その主体にあるのはほんとうに自分?

それを問い直させてくれる書籍だった。

 

 

産まないことは「逃げ」ですか?

産まないことは「逃げ」ですか?

 

 

不妊治療し、不妊治療をやめる決意をし、産まない人生を選んだ著者は自らを「平成の石女」と明るく語る。

 

(※石女とは、古来、家系存続のために女性が子供を産むことを義務とされていた時代に、産めなかった女性を指します)

 

私と違って子供が欲しいと感じていた著者は、そこに行きつくまでに葛藤があったはずだ。

著者のように苦しみを乗り越えて「産まない」ことを選んだ女性がそのことをオープンにするには、今の日本はまだ厚い壁がある。

私も「あまり子供が欲しくない」と周りに言うとびっくりされることが多い。

 

 

日本には「少子化防止のファシズム」があると著者は語る。

少子化はネガティブなことであると思われているが、もしかするとそれも世間一般からの洗脳なのかも知れない。

洗脳され続け、「子どもを産むことは義務」と思い込まされて、それが現代女性の苦しみにつながっているのかも知れない。

 

海外では「産む前に戻れるなら、母親になっていた?」という問いに「NO」と答えた女性たちの本が出版されているという。

日本では絶対に翻訳されない、と著者は語る。私もそう思った。

だけど「母親になったことを後悔している」という女性は、日本にも存在しているはずだし、たとえオープンにできなくてもそういった女性たちに寄り添えるような社会になってほしい。

 

「産むこと」と「産まないこと」については、ライターとしても取り上げたいテーマなので、いずれ記事にする予定です。

 

最後に備忘録として「産まない人生」に光が差すような書籍を見つけたので、これから読んでみたいと自分でも思いつつ紹介します。

 

 

誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方

誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方

 

 

 

産まない理由 今まで誰にも言えなかった私たちのホンネ

産まない理由 今まで誰にも言えなかった私たちのホンネ

 

 

 

産む、産まない、産めない (講談社文庫)

産む、産まない、産めない (講談社文庫)

 

 

かたっぱしから読もうと思います。

「令和の石女」と私も明るく自分のことを語れるようになりたい。