文は人なり

フリーライターの若林理央です。ダ・ヴィンチニュースや好書好日で執筆中。小説や映画について語るブログです。エッセイ→note.mu/wakario Twitter→https://twitter.com/momojaponaise

排卵障害のこと

久々に、三ヶ月生理がこない。

それなのに、PMSによる怠さと、PMDDによる情緒不安定がおさまらない。

情緒不安定は怖い。

心の奥深くにある尖ったことを、全世界が見ているSNSで平気で書いてしまう危険性がある。

元気な人たちのツイートを目にするのは、もっと怖い。

先月は新型コロナ発症・入院で。今月は生理前症候群で三週間以上悩まされて。

「なんで私だけ」

そう感じた瞬間、すべてのSNSを閉じた。

 

排卵障害だと診断されたのは、三年前のことだ。

 

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ニュージーランド旅行中に腎盂腎炎になり一週間入院、帰国後、日本で検査すると「子宮のあたりに腫瘍みたいなものが見えますね」と言われた。

目の前が暗くなった。

だが、生理前にはよくあることだとも言われ、同じ病院の婦人科で検査した。

排卵していないですね」

医師のひとことで、少し安心した。

子宮の病気は他にもいろいろある。

排卵していない状態ってことは病気じゃないんですねと言うと、「まあ排卵障害って病名になるかな」と言われた。

 

もともと人生のプランに「子どもを持つこと」を入れていなかった私は、「持たない」から「持てない」になったのかと思ったが、そうではなかった。

「お子さんを望んでいるなら、すぐに不妊外来へ行ったほうがいいですね。望んでいなくても、将来的に骨粗しょう症などのリスクが生じる可能性があります」

私は医学的なことはよくわからない。

とりあえず、骨が弱くなるのは困る。

排卵誘発剤とやらを処方されて飲んだが、その日から吐き気が止まらず、集中力が保てなくなった。

 

仕事ができなくなるとフリーランスは収入ゼロである。困るので再び病院に行った。

今度は排卵誘発剤の入った注射を打ってもらった。

医師「ピルを飲んだことは?」

私「ありますけど、副作用で吐き気がつらくて、仕事もできない状態になってしまったんで無理でした。慣れたら大丈夫だったのかもしれないですけど、それまで仕事休むとか無理で」

医師「副作用で吐き気が出やすい体質なんですね」

そういえば腎盂腎炎のときもずっと吐いていた。

あれは副作用ではなく症状の一種だったと思うが、NZの病院で「吐き気がする」という英語は真っ先に覚えた。

 

注射を打ってもらい、生理が来た。

嬉しかったが、これまでにないほど生理痛が酷い。

痛い。立てない。食べられない。

「もう子宮なんかいらない」

泣きながら言った。

ちなみに、子宮をとってもPMSは治らないらしい。

「なんで女に生まれたんや」

これまでさんざん女であることのメリットを享受してきたくせに、そんなことを思った。

 

その後、五週間くらいの周期で生理は来た。相変わらず生理不順で、生理痛は20代前半の頃と比べると考えられないほどつらかったけど。

 

また生理が来なくなったのは、新型コロナに感染したことが理由なのかわからない。

コロナウイルス自体ではなく、感染によるストレスが原因かもしれない。

「明日こそ来る」

下腹部に軽い痛みを感じ、毎日そう期待して眠りにつく。

しかし、いっこうに来ない。

精神科の主治医に、飲んでいる睡眠誘導剤の一部を変えたからということはないのか聞いた。

「この薬にはそういった副作用はないんだけど、副作用には個人差があるからね」

そのあと、悪夢は見るかと聞かれた。

よく見ますと答えると、新しく精神安定剤が処方された。

寝る前に飲む薬を変えてくれたのは、ありがたかった。不調の理由が睡眠誘導剤にあるのかはっきりするから。

 

家に帰って婦人科の診療時間を調べると、既にゴールデンウィークに入っていた。

排卵障害との闘いは、終わってなかったのだ。

「女」であるからこそ生じる闘いというと、相手は男性社会だと見なされがちだが、私にとっては自分の体である。

 

月に一度、血を流してくれたら解決するのに。

どうして初潮を迎えてから今まで、私の体は周期を守ってくれないのか。

 

排卵障害は、不妊で悩んでいる人からしたら、もっと大きい苦しみかもしれない。

しかし、子どもを持ちたくない人にとっても、非常に辛いのだ。

 

一日も早く生理が来ますように。

そう願いながら、今日も仕事をし、食事をして、眠る。